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私はうつ病です。気分が上がるとその後で必ず深い落ち込みがやって来るので、気分の上下を少なくし、チョット落ち込んでいるくらいがちょうど良いのですが、深い落ち込みが長く続いたときに、すがる思いで買った本がこれです。
どんな人に向けて書かれたかというと、本の装丁に書かれた文章がそれを端的に表しているので紹介します。
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私たちはみんな、ヒーローになること、特別な何者かになることを夢見ていた。だけど今では、世界どころか自分を救うことに必死な大人になってしまった。
中途半端な年齢、中途半端な経歴、中途半端な実力をもつ、中途半端な大人になった私たちは、誰もが大人のふりをしながら生きている。
本書には、今を生きる普通の人へのいたわりと応援を詰め込んだ。何が正解なのかわからない世の中で、誰のまねもせず、誰もうらやまず、自分を認めて愛する方法を伝えたい。
平凡だけど美しい、ごく普通の「私たち」のために!
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そして、読んでいてこの本は10代後半から30代前半くらいの人たちを対象に書かれた本だと思うようになりました。
「夢や希望は大事だけど、あんまり現実から乖離しているといずれガッカリする」
「自由に生きるためにはお金が必要」
「生きていくためにはお金が必要で、それを手にするためには働かなくてはならない。そして、あなたにピッタリの完璧な職場などどこにもない。」
なんていう辛口のことも書いてあり、こういうことは教えられなくとも40歳になるころには経験から理解することになるからです。わざわざ書いたのは、それがまだ分かっていない年齢層をターゲットにした結果でしょう。
文才のない人たちは、不安、怒り、悲しみ、劣等感などを抱えてもそれを言語化できずにモヤモヤしていることと思います。本書では、それを言語化して見える化し、それに対してどう考えれば良いかが書かれています。普通の人たちが生きていると感じずにはいられない色々な負の感情に対する作者なりの対処法は普通の人に役立つのではないでしょうか。
読んで《やる気》が出ちゃう自己啓発本とは違うんだけど、生きるのがつらいなと思っている普通の人は読んでみる価値があるかもしれません。