美術大学の学生たちを取材したドキュメンタリー番組を見ました。
未来の芸術家を夢見て創作活動に励む姿を映していたのだけれど、その中に一人、気になる女学生がいました。彼女はガラス工芸を勉強していて、次のようなことを言いました。
・・・・・・・・・・
私は学費を奨学金でまかなっています。卒業したら奨学金を返さなければなりません。
ガラス工芸作家になるにはガラス工房に弟子入りするのが良いのですが、それでは給料が安くて奨学金が返せません。だから、普通に就職して平凡なサラリーマンになるのが良いのですが、ガラス工芸の道も諦めることができません。
今は迷っている最中です。
・・・・・・・・・・
彼女は、そんなことを言っているわりに大学院へ進学しちゃってるんですよね。借金(=奨学金)のことを心配してるのに、大学院へ進学して、さらに借金を増やしてどうするんだ、と思いました。
私は中学生の時、母親にバイオリンを習いたいと言ったことがあります。すると、母親は、
「それでお前は飯を食べるつもりか?」
と質問されました。中学生の私でもプロのバイオリニストになるためには3歳から練習を始めなければならないことを知ってましたから、
「今から始めてプロになることはできない」
と答えました。すると母親は、
「飯のタネにならないことは勉強しなくてイイ。余暇を楽しむなんてことはお金と時間に余裕のある人がすることで、ウチはお金も時間もない。」
と却下されました。
当時の私はがっかりしましたが、自分の家が貧乏なのを分かっていたので、仕方ないと諦めました。
教育に費やしたお金を回収できるか考えなさい、と母親は教えてくれたんだと思います。教育は投資なのです。
奨学金で美術大学に通う女学生がいることを知って私が思ったことは、
「ガラス工芸って借金してまで勉強することなのか?」
でした。
実家が裕福で、子供が一生遊んで暮らせるくらいの資産を残してくれている人だけが美術大学へ進学するべきです。