最近、アメリカの自動車工場で働いている人たちが一斉にストライキして賃上げを勝ち取ったニュースが日本でも流れました。
個人主義が徹底していると言われる欧米ですが、日本よりも労働組合がはるかに強く、とくにヨーロッパではストライキは珍しくありません。
「なんで日本の労働組合は衰退したんだろう?」
と、私が労働組合の書記長をやっていた30代中ごろからずっと考えていたのですが、YouTubeを見ていたらこのテーマを解説する動画がアップされていて目からウロコでした。
結論を先に言うと、
【日本人は欧米人より利己的だ】
となります。
自分で書記長をやっていたころいつも思っていたことは、
「いろんな考えをもった人がいる」
でした。ですから、労働環境の改善なんてみんなが得をするような議題でも会議にかけると議論百出、迷走に迷走をかさね、時間切れで結論先送りとするのがお決まりでした。
また、めずらしく意見がまとまっても実際の動員は誰が参加するのかという具体論に移ると「私は忙しいから無理」と言われてしまい、結局自然消滅です。
長い間、この経験から私は、
「日本人は団体行動が苦手」
と思っていたのですが、YouTubeの動画ではそうではなくて、労働組合の幹部に有能な人がいないからだ、としていました。
欧米でも日本でも大衆を動員できる有能な人間は一定の割合で存在するのですが、日本では大衆を動員できる有能な人間はその能力を自分のためだけに使ってしまうそうです。
大衆を動員できる有能な日本人は、
①政治屋になっている。(日本に政治家はいない)
②大企業で出世競争をしている。あるいは既に幹部職員になっている。
③起業して経営者になっている。
④新興宗教の教祖になっている。
のいづれかになって、能力を自分のためだけに使うそうです。
たしかに、わたしも労働組合の書記長をやった一年間はヤイノヤイノ文句を言われるばかりで1円だって報酬を受け取っていませんでしたから、利己的な行動を選択する人には耐えられない役職です。
ところが、このYouTubeの制作者は10年以上アメリカに住んで、
「アメリカでは大衆を動員できる有能な人間が利他的な行動をとることがある」
と目の当たりにすることが何度もあったそうです。
そのように言われてみると、私を含め組合の執行部に大衆を動員できるような有能な人はいませんでした。
動画では、どうしてそのような違いが生まれたのかは言及してませんでしたが、そのような現実がある日本では労働者側から賃上げ圧力を経営者にかけることは平成以降なかったし、これから先もないだろう、と締めくくってました。
私は、この動画に反論する言葉がありませんでした。現在、54歳の私は小学生のころ、私鉄や私営バスがストライキをして不便になることを経験した記憶があるのですが、私より下の世代になると「ストライキって美味しいの?」となるかもしれません。本来、賃金は労働者と経営者で話し合って決めるものなんですけどね。
まぁ、私も自分が有能だったら、その能力を自分のためだけに使いますから他人にとやかく言う権利はありませんけど。