街角に置かれたピアノに定点カメラを設置して、演奏している人を撮影して放送する番組があります。
上手に演奏された方はインタビューされます。
その日の放送はニューヨークからでした。
中年男性が、難しそうな曲を上手に演奏してインタビューを受けたのですが、なんとホームレスでした。
男性はコロナパンデミック前はブロードウェイの劇場で専属ピアニストをしていたのですが、ロックダウンの際にクビになり、そのまま現在まで無職とのことでした。
物価と家賃が世界一高いと言われるニューヨークで、あっという間に貯金が底をつき路上生活になってしまったそうです。現在は、シェルターに身を寄せギリギリの生活をしているとのこと。
その男性が以下のようなことを言いました。
「就職活動してもまったく手ごたえがない。街を歩いていても誰も私を見ていない。誰からも必要とされていないし、声をかけてくれる人もいない。自分は透明人間になってしまったんじゃないかと思う。」
私が日々の生活の中で感じていることを地球の裏側のニューヨークで感じている人がいました。
きっと世界中に透明人間がいるんだろう、私だけじゃないと思いました。