うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

これは経費で落ちません! 経理部の森若さん

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青木祐子集英社オレンジ文庫
☆☆☆
現実社会ではお金がなければ何もできませんから、お金の流れを精緻に追跡できれば、個人のみならず国家でさえ、行動を全て把握できると私は思っています。

 

会社でこの役割を担うのが経理部です。あらゆる部署からあがってくる入金、出金の情報を処理するうちに、主人公の森若さんの頭に警報が鳴るのです。

 

森若沙名子さんは入社5年目の27歳。《年齢=彼氏いない歴》なんですが、それは容姿が悪いせいではなく、とっつきにくい性格のためです。仕事もプライベートも数日先までの予定を立て、それを予定通りに実行することで強い喜びを感じる森若さんは、予定外のことが起きると不機嫌になってしまうのです。予定外のことには、男性からのお誘いも含まれるため、せっかく人並み以上に美人に生まれてきたのに、これまで恋とは無縁に生きてきました。

 

森若さんは、愛社精神を持ち合わせておらず、

 

「会社はお給料をもらうために仕事をする所」

 

と割り切っているので、余計な人間関係を会社で作りたいとは微塵も思っていません。ですが、キッチリした性格なので帳簿が合っていないと心がモヤモヤしてしまい、そのせいで、ズボラな人、ルーズな人、ズルをしている人と否応なしに関係をもつはめになってしまうのです。

 

しかし、そこは27歳の経理部員が分かる範囲の悪事なので、巨額脱税事件、黒社会との交流、粉飾決算などの深刻かつ重大な経済犯罪に立ち向かうお話ではありませんから、気楽に読み始めて下さい。森若さんを困らせるのは、20代から30代までの小者ばかりです。

 

社内の人間と必要以上に付き合いたくない森若さんが、お金の流れを追っていくうちに面倒ごとに巻き込まれてしまう様子を楽しんでください。