畑野智美、角川書店
☆☆☆
絵のない少女漫画です。
主人公は、高校二年生の井上遥です。遥が高校二年生になった4月から3月までを遥の視点で一緒に疑似体験できます。
住んでいる所は海辺の坂の多い町です。作中で卒業式があるのですが、そのときに桜は蕾だったと記されているので、関東よりも北に位置する所でしょう。
遥はごく普通の高校生です。共働きの両親をもち経済的に問題ありませんし、家族関係も良好です。中学生の時に陸上部に所属していましたが、地区大会は通過できるけれど国体に出るほどではなく、才能がないことを悟って高校では帰宅部になりました。勉強は「嫌い」とはっきり言っています。ですから、成績は中の下といった感じです。
学校へ行くと親友の女子1名と仲良しの男子2名がいます。物語は、遥を含めてこの4名で進んでいきます。
こんな背景を持った遥が進路に悩んだり、気になる男の子のことで悩んだりします。ドラマチックなことは起こりませんが、その分、遥を身近に感じることができるように思います。
部活に熱中して全国大会で優勝!、みたいな話ではないので読んでいて、
「感動した!」
みたいなことはありませんが、多くの高校生、かつて高校生だった人が共感したり、懐かしんだりできる小説です。