額賀澪、集英社
☆☆☆
この本は5段階評価で評価すると【2】です。
私は毎日何かしらの小説を読んでいます。しかし、つまらないと思った本は最後まで読みません。そういう本が評価【1】です。ですから、この本は私が最後までギリギリ読むことができた本です。
主人公は二人いて、どちらも広告代理店でクリエイターをしているアラサーの男性です。かりに、A、Bとしましょう。
Aは東京から車で2時間ほどかかる田舎で地方自治体の広報誌や地元企業の広告を作っています。
Bは東京の都心にある有名広告会社のクリエイターで、日本中の人が目にすることになるような広告を次々と手がけています。
一見すると交わる要素のない二人ですが、30歳という年齢から、これから先の人生に迷っていて、自分探しをしているという共通点を持っています。
ここからは、よくあるお仕事小説が展開されます。今は、AIでも小説が書けるそうなのですが、この小説がまさにそれなんです。たくさんのお仕事小説を人工知能に学習させて、新しい小説を書かせたらこの本になりそう。読んでいて、
「これっ、どこかで読んだ気がする、、、」
というできなんです。
あと、ラストが最悪。評価【2】なのでばらしますが、AとBが、共通の友人が経営するレストランの宣伝をするのに、結婚式の二次会に利用できるという宣伝をします。このとき、AとAの恋人を新郎新婦役にして撮影を行うのですが、たくさんの衆目が集まる中でAが恋人の女性に、
「僕は上京して、日本一のクリエイターを目指すから君とは結婚できない!」
とかぬかして、撮影現場を逃げ出して終わっています。Aは直前まで、【恋人と結婚して幸せな家庭人になる】という未来と【日本一の広告クリエイターになる】という未来の間で迷っていたのですが、何も衆目が集まる場で恋人を振ることないのにと思いました。最低の男です。
あなたが無人島に流れ着いて、島にこの本しかなかったら読めばイイと思います。