原田ひ香、中央公論新社
☆☆☆
具体的に3千円を何に使うか考えるお話ではありません。
6つの章からなっていて、それぞれ主人公が違います。
その誰もがお金に余裕があるわけではなく、工夫しながら生活しています。その工夫する姿を年齢、性別、性格など様々な主人公たちを通して見ていく物語です。
お金について考えるきっかけも様々です。
・職場で中高年を対象にリストラが行われ、明日は我が身と思う若い女。
・同年代の熟年離婚の相談にのるうちに不安になった主婦。
・恋人から結婚をせがまれて貯金を考える中年男。
・結婚しようと思ってた男に5百万円の借金があった女。
などなどです。
人生、お金が全てじゃありませんが、何をするにもお金がかかるのが現実です。そんな中で、主人公たちが何かを得るために他の何かを諦める姿は多くの人に共感されると思います。
ビル・ゲイツやジェフ・ベゾスみたいに何兆円も貯金があったら経済的な理由で行動が制約されることはきっとないんでしょうね。うらやましいなぁ。