うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

グリーン・グリーン

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あさのあつこ、徳間文庫

☆☆☆

歌手や芸人さんには【一発屋】と言われる人がいますが、作家にもそういう人がいます。ベストセラーを一冊出して才能を使い果たしてしまい、その後フェードアウトしてしまう人です。

 

しかし、あさのあつこサンが出される本はどれも安定した品質を保っていて、感心させられます。書くジャンルも多岐に渡っていて、本当に一人で執筆しているのか疑いたくなります。そんなわけで、この本も面白く読ませていただきました。

 

小説の冒頭で、主人公の翠川真緑(みどりかわみどり、通称グリーン・グリーン)が、突然の交通事故にあうような感じで彼氏から別れを告げられます。

 

失意の底から救ってくれたのはなんと、【おにぎり】なのです!一口食べるごとに体にエネルギーを充てんされるような気持になって、そのお米を生産した人や土地に興味を抱きます。そして、現地を見聞してその土地の農業高校で教師をすることを決めるのです。

 

東京の名門大学に通っていた真緑なので高校教師になること自体は簡単だったのですが、立派な教師になるのは筆記試験をクリアするのとは勝手が違います。

 

田舎で暮らすのは初めて、これまで農業と無縁に生きてきた、もともと社交的な人間ではない、などの理由で反省することばかりの教師生活が始まります。そこから一年後までが描かれています。

 

若い人たちが主要登場人物なので、読んでいると私の気持ちまで若返りました。若い人たちのする未来の話ってイイものですね。学校の先生をしている人はいつまで経っても気持ちの若い人が多いけれど、ここに書かれているような毎日を過ごされていれば、さもありなんって感じです。

 

中学生や高校生は共感しながら読んでいただき、私のように人生の折り返し地点を過ぎた人たちは遠く過ぎ去った日々を懐かしく思いながら読んでいただけるはずです。