うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

やめるときも、すこやかなるときも

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窪美澄集英社文庫

☆☆☆

32歳の男女の恋の物語です。

 

年を取るほどに、人は経験を積み、慎重になっていくのが普通ではないでしょうか?とくに、恋愛は失敗を繰り返すほどに、若い時のような勢いで付き合ってみるなんてことが出来なくなる代表的な事例だと思います。

 

この物語の男女は32歳ですから、当然、初恋ではないわけです。二人とも心に傷があって、好きになったからスグに付き合ってみるとはならないわけです。

 

物語は、二人の目線で交代で語られていきます。二人とも、相手に過去があって、それが原因でこちらに踏み込んでこないんだな、と察しています。ただ、より深い仲になるためには秘密や過去を相手に打ち明けなければならず、迷います。そんな膠着状態が物語の中盤まで続きます。

 

中盤になり、互いに秘密や過去を打ち明けます。こんどは、それを受け入れて許すことが出来るかの問題が生じます。とくに、男性の過去は重い内容だったので、女性の側が悩むことになります。

 

このときの女性が考えていたことが心に残ったので、下記に転載します。

 

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この人は確かに心に傷がある人だ。生きている人でそんな傷がない人などいるはずもない。みんな自分の傷を抱えてそれぞれの人生を生きている、はずだ。傷の深さは人によって違うだろうけれど、大人になってしまえば皆、そんな傷など負ってはいませんという顔をしなくちゃならない。そうしないと生きていけないからだ。

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大人の恋は難しい、と私個人は思っているので、リアリティがあってよい恋愛小説だと思いました。互いの傷を許し合ってハッピーエンドになるのか、はたまた、受け入れられずバッドエンドになるのか、それは読んでのお楽しみです。