うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

鳴くかウグイス~小林家の受験騒動記

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不知火京介、光文社

☆☆☆

中学受験をする家庭の一年間を物語にした本です。

 

私は、生まれてから関東平野を出て暮らしたことがないため、この物語の舞台になっている京都の地理が分からないのだけど、京都の地名が頻繁に出てくるので土地勘のある人は親しみやすいかもしれません。でも、知らなくと面白く読めるので、大丈夫です。

 

普通、中学受験というと小学校5年生になったときから準備を始めるみたいですが、この本で中学受験する男の子はスタートが小学6年生になってからです。仲良しが、中学受験に専念する姿を見て、自分も挑戦したくなったのです。

 

そこから、お母さんの目に映る中学受験が描かれていくのですが、これは親子でやる二人三脚ですね。どちらが力を抜いても合格は出来ないといった感じです。

 

無試験で入れる公立小学校の勉強だけでは有名私立中学校には合格できないので、子供に合う塾を探すところからが受験戦争の始まりなんですが、これは実際に体験入学してみないと、合う、合わないが分からないので、なかなかに大変そうです。

 

そして、一番現実的な問題が金策です。塾の授業料が毎月数万円かかるのですが、主人公の家は子供が3人もいて、分け隔てなく教育費をかけようとすると家計がパンクします。さらに、もしも有名私立中学校に合格したら、公立中学校よりも確実に高額な授業料を請求されるわけですから、お母さんはこのことで最初から最後まで悩みます。

 

読んでいて、有名私立中学校に合格するのに一番大事なことは、《良い同志》を持つことだと思いました。いろいろな物に興味が奪われがちな小学6年生が1~2年という長い期間、受験勉強に集中するためには同志の存在は欠かせません。大人でも一人で意志を貫くって、難しいですからね。そういった意味では、この本は熱い友情の物語として読めます。

 

本人のやる気と才能、優れた教師、良き仲間、家族の献身的な支援、これらが総合的に高まった子供が有名私立中学校の門をくぐることになります。

 

実際の受験よりは、エンターテインメントを重視したつくりになっているので、これから中学受験する人の参考にはなりませんが、物語として読む分には面白いです。