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神業としか言いようがないスリの技術を持った女子高生と少しの時間だけでも会話すれば人の悪意を感じ取ることができる若い警察官が活躍します。
育児放棄をしている若い母親の存在に気付いた女子高生が、スリの技術を使って、崩壊する一歩手前の家庭を助けるストーリーです。
女子高生が一人で作戦を立て、警察官は女子高生のやった仕事(=スリ)を追跡していくうちに問題のある家庭と関係を持つようになり、スリよりも育児放棄の方が緊急性があると見て、そちらに注力するうちに、最後に女子高生にもたどり着く、とこんな具合です。
女子高生がお釈迦様で、警察官が孫悟空というようにも見えます。
でも、女子高生は若い警察官に好意を持っています。そのため、物語をとおしてほのぼのとした空気が流れているので、育児放棄、スリ、なんて暗くなりがちな話題を扱っているのに、明るい気持ちのまま最後まで読むことができます。