藤野恵美、角川文庫
☆☆☆
本の題名と装丁に描かれた絵から青春恋愛小説かと思っていましたが違いました。ジャンルは青春成長小説です。
舞台は県内でもトップの進学率を誇る高校です。そこに通う男の子と女の子を主人公にして、11月に行われる文化祭までの数週間が描かれています。
そのため、段落が変わるたびに男の子の目線になったり、女の子の目線になったりしながら、文化祭にむかう高校の中が語られます。
二人の共通点は同じクラスに所属する一年生というだけです。親密度はあいさつを交わす程度です。異なる点はクラス内でのカーストが最上位と最下位という点です。
男の子は長身痩躯で運動神経抜群、容姿に優れていて告白してくる女子が絶えないイケメン。
女の子はチビ、メガネ、三つ編み、運動神経ゼロ、コミュ力ゼロ、趣味は読書です。
こんな両極端な二人の目に、はじめての高校の文化祭はどんな風に見えるんでしょうか、という物語になっています。
大小さまざまなトラブルを乗り越えて文化祭当日にこぎつけ、読者である私もホッとしていたところ、文化祭当日に一番大きなトラブルを持ってくるあたり、「この作者やるな」と思わせました。
最後、文化祭で二人がどんな成長をみせるかは読んでみてのお楽しみです。