連休中に公務員時代の同僚と会って、昼間からやっている安い居酒屋で2時間ほど飲んできました。
私は、一週間誰とも話さないことが珍しくない今の生活は寂しいと、いつもの愚痴をこぼしてきました。同僚(以下Aさん)はなかなか深刻な悩みを話してくれました。
Aさんには来月に美術大学を卒業するお嬢さんがいるのですが、その子が就職活動をまったくしないで、進路先未定で卒業してしまうというのです。
「美大に4年で7百万円も払って卒業させたのにフリーターだぜ、やってられないよ」
とこぼしてました。
お嬢さんは、小学校5年生の時に写生大会で県知事賞を取ったことがあって、そのときの成功体験が強く心に刻まれて美大に進学しました。
しかし、美大への進学を両親が応援していたかというとそうではなくて、絵じゃ食べていけないから美大への進学を諦めさせようとしてました。その結果が卒業式を1か月後にひかえていまだに進路未定という惨状です。
お嬢さんの言い分は、創作活動に専念したいから就職はしないんだそうです。
お嬢さんが4年生になってからのAさんの家の中は、お嬢さんの就職活動をめぐって主に母親と娘の間で激しい口論が定期的にあり、
「家に帰っても空気が悪くて休まる気がしなかったよ」
とのこと。そりゃそうだろう、という気持ちで同情しながら話を聞きました。
結局、実家に住んでも良いけど生活費として毎月3万円払うこと、お小遣いはなし、創作活動費も支援しない、という条件を書面にして、お嬢さんにサインさせて決着したそうです。
私は、ダラダラと挑戦させるとAさんが介護が必要になるまで絵描きを続けるかもしれないから、5年がんばっても絵で飯が食えるようにならなかったら就職活動するとか期限を区切って挑戦させた方がいいんじゃないか、と言っておきました。
たしかに、この世の中に生活必需品しかなかったらつまらない世界になってしまうと思います。だから、Aさんのお嬢さんのように人の心が豊かになるような物を創作する人も必要なんだけど、それが許される人って神様から特別な才能を与えられた人だけなんですよねぇ。今はAさんのお嬢さんが、その特別な才能を持っていることを祈るばかりです。