私が、はじめて海外旅行したのは今から30年くらい前、20代中ごろのことです。行先はエジプトでした。
はじめての海外旅行どころか、飛行機に乗るのもはじめてで、カイロに着くまで20時間くらいかかったのに、興奮してずっと起きていました。
一番楽しみにしていたのは、ピラミッドを見ることだったのですが、帰国してから強く印象に残ったのは遺跡のことよりも現地の人のある行動に関することでした。
バスが観光地に着いて外国人が下りてくると物売りが集まってきます。その人たちから買い物をすると、
「ドルをくれ」
と言うのです。現地通貨(エジプトポンド)で払おうとすると、
「そのお金はいらない」
とも言うのです。
旅行へ行く前、旅行会社から送られてきた旅のしおりに、
『エジプトでは米ドルがあれば買い物に困りません。エジプトで米ドルに換金すると手数料が高いので、日本で米ドルを必要なだけ換金しておいてください。』
と書かれてあったので、私は5万円ほど日本で米ドルに換金して持って行ったのですが、絵葉書を買うときにあいにく高額紙幣しか持っていなくて買い物ができませんでした。そこで、
「日本円はどうですか?」
と提案すると、
「マルク(ドイツのお金)は持ってないか?」
と聞かれ、ないと応えると、
「しかたない、円でいいよ」
と応じてくれたのです。
私は、
①米ドルは基軸通貨。世界中で決済に使われている。
②日本円は地域通貨。日本でしか使えない。
という知識はあったのですが、やっぱり、《知っている》というのと、《経験した》ということは全然違いますね。
帰国してからの私は外貨を持つことに抵抗感がまったくなくなりました。そして、約2割を目安に資産を米ドルで持つようになりました。これから先のことは分かりませんが、私が米ドルを持つようになってから現在まで、米ドルの金利が日本円の金利を上回ることが続いたので、私は得することができました。
若い時に海外へ行くチャンスがあったら、ぜひとも行くべきです。外国でしかできない何かがあるからです。《知っている》というのと、《経験した》は全然違うことです。