鈴木るりか、小学館
☆☆☆
中学二年生が書いた小説です。中学生だったころの私は、夏休みの読書感想文を書くだけでしんどい思いをしていたので、こんなに長い文章を書けるというだけで尊敬してしまうのだけれど、その上面白いのだから驚愕です。
ふつう、中学二年生と言えば、一生のうちで最も夢見がちで馬鹿なことをしやすく、後々、黒歴史となるようなことをやらかして、死ぬまで後悔するお年頃です。それなのに、鈴木るりかサンの人や世間を見る目線がとても冷徹で、51歳の私が読んでも、
「現実って、そういうもんだよね」
と納得させられてしまうのです。
前にも鈴木るりかサンの本を読んだことがあるのですが、彼女の小説を読むと《才能》についてどうしても考えさせられます。
才能というものはとても残酷で、ある人にはあって、ない人にはないのです。《ない人》がどんなに努力しても《ある人》には敵いません。鈴木るりかサンの小説を読むと、
「才能って、こういうことか」
と思わせられる人が多いのではないでしょうか。
今回は、貧乏な母子家庭を扱っています。しかし、読んでいて暗くなるようなことは一切なく、むしろ、
「生きてるだけで丸儲け」
と前向きになれるお話です。元気が出る小説が読みたい人にお勧めです。